ご逝去後、奥様が遺族厚生年金の受給権を取得されたケース【No.120】

相談者: 男性 60代 / 無職
傷病名: 肺腺癌
決定した年金種類と等級: 障害厚生年金2級
年金決定額: 約146万 有期認定:1年

相談時の相談者様の状況

約1年半前に、肺腺癌(ステージⅣ)と診断され、抗がん剤治療等を続けて来られました。

ご相談当時65才であり、老齢年金の受給をされていましたが、月に3万円程度とのことでした。
障害年金を請求できるならば依頼したいとのことで、お問い合わせくださり、ご本人と奥様が来訪される運びとなりました。

相談から請求までのサポート

障害認定日請求を行うべく、病歴の詳細、病状をお聞きしました。お電話では、「癌症状を強く疑われた」病院での初診時は国民年金未加入期間であった旨をお聞きしていましたので、障害基礎年金請求を視野に入れていましたが、詳細をお聞きするうち、その受診よりも数か月前に、別のかかりつけ内科にて「咳症状が1か月ほど続いていた為、受診していた」ことが判明。

その情報が正しければ、障害厚生年金での請求が判断可能でした。保険料納付状況が極めて厳しい中、初診日においては64才であり、奇跡的に直近一年で納付要件もクリア。障害厚生年金3級を目標に受任いたしました。かかりつけ内科で受診状況等証明書を依頼。初診日と判断することが可能か、主治医のご意見を伺うことにし、「かかりつけ内科での咳等の症状は、以降の病状や経過を鑑みると肺腺癌を発病していたと考えられるか?」とご本人より確認して頂いた結果、「考えられる」とのご返答を頂きました。

あとは、病状を丁寧に聞き取り、診断書を依頼。作成に際し、初診日についてのご見解をご記載いただくよう依頼し、幸いなことに応じて頂けました。日を重ねるごとにご病状が悪化し、当初は3級を想定していましたが、最終的には2級を想定する内容となりました。

結果

結果的には、障害厚生年金2級の受給が決定したのですが、受給決定の前に、ご逝去されたとのご連絡を頂いておりました。お優しかった生前を偲び、ご冥福をお祈りするのみでした。
障害厚生年金の受給が決定したことにより、奥様は遺族厚生年金を受給できるようになりました。
遺族厚生年金の受給要件には、「1級・2級の障害厚生年金を受けられる者が死亡したとき、死亡した者によって生計を維持されていた妻」が含まれます。つまり、障害厚生年金を受給できない状態でご主人が亡くなられていたならば受給出来ないはずであった遺族厚生年金を、受給出来ることとなったのです。ご逝去されたことは、本当に無念でしかありませんでしたが、そういう中でも受給決定が無駄にはならない結果となり、それだけが救いでした。
改めて、ご冥福をお祈り申し上げます。

その他の事例はこちらをご覧ください。

 


この記事の最終更新日 2022年12月2日 執筆者: 社会保険労務士 堤信也

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