遺族年金 事実婚でも受給可能(2015年5月23日)
「一家の大黒柱」が亡くなったとき、その配偶者を生計面から支える年金として
遺族年金があります。遺族年金は、大黒柱が加入していた年金制度により、遺族
基礎年金や遺族厚生年金などに分類されます。
この遺族年金を受給できる配偶者には、婚姻届を提出するなどの一定の法律上の
手続きを経て成立する法律上の配偶者(法律婚)のほかに、事実上の婚姻関係
(事実婚)にあった人も含まれることはあまり知られていないようです。
事実婚とは、さまざまな事情により、婚姻の届け出をしていないか、社会通念上、
夫婦としての共同生活と認められる事実関係、いわゆる内縁関係にあることをい
います。
この事実婚が認められるためには、次の二つの要件を満たすことが必要です。
①当事者間において、事実婚関係を成立させようとする合意があること
②夫婦の共同生活と認められる事実関係があることー。
特に、遺族年金の請求時においては、夫婦の共同生活と認められる事実関係が
あったことを立証することが重要です。立証の一例として、葬儀の喪主となっ
た会議礼状の写し、亡くなられた方が入院した際の入院保証書、宛先が同一で
ある連名の封書やはがき、生命保険金の受取人となっていた証書の写しなどが
挙げられます。
事実婚による遺族年金の請求には、このように夫婦としての実態があったことを
客観的に立証する必要があります。詳しくは年金事務所や社会保険労務士にお尋
ねください。
この記事の最終更新日 2015年6月10日 執筆者: 社会保険労務士 堤信也