障害認定 植物状態を明文化(2014年12月6日)
今年6月から障害基礎年金と障害厚生年金の障害年金基準が一部改正されました。
交通事故や脳卒中などで重度の昏睡状態になる遷延性意識障害の障害認定の方法が
明文化されたこともその一つです。まず、遷延性意識障害とはいわゆる植物状態の
こと。
1976年の日本脳神経外科学会の定義では①自力で移動できない②自力で食べ物を
摂取できない③汚物を失禁する④目で物を追うが認識できない⑤簡単な命令には
応ずることもあるが、それ以上の意思疎通ができない⑥声は出るが意味のある発語
ではない-という6項目が、治療にもかかわらず3カ月以上続いた場合を指します。
明文化については「遷延性植物状態は、日常生活の用を弁ずることができない状態
であると認められるため、障害等級の1級と認定する」「障害の程度を認定する障
害認定日は、その障害の状態になった日から起算して3ヵ月を経過した日以後に、
医学的観点から、機能回復がほとんど望めないと認められるとき」とされました。
今の医療保険制度では入院期間が3ヵ月を超えると保険点数が少なくなるため退院や
転院を勧められ、在宅で介護するケースが多いようです。長期にわたる介護は家族に
とって肉体的、精神的、金銭的に大きな負担がかかり、ご苦労は計り知れないものが
あります。
障害年金は原則、初診日から起算して1年6ヵ月を経過しないと申請できません。改正に伴う特例により1年6ヵ月待たなければならなかったものが、3ヵ月に短縮され、それだけ障害年金の支給も早くなると期待されます。
この記事の最終更新日 2015年6月5日 執筆者: 社会保険労務士 堤信也